1. Home
  2. ニュースリリース
  3. 経済的プレッシャーから企業不正が急増

経済的プレッシャーから企業不正が急増
- 世界中の企業の30%が過去12カ月間に不正があったと報告、中間管理職による経済犯罪が急増

2009年11月19日

2009年11月19日ニューヨーク、ロンドン - 調査によると、すでに世界不況の波に襲われているところに、世界の3社に1社が過去12カ月間に経済犯罪の被害に遭ったと報告しています。プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が実施した「経済犯罪意識調査2009(Global Economic Crime Survey)」によると、さらにこのうちの43%が、同期間に不正行為が増加したと回答しています。

調査の結果、回答企業のうち30%が同期間に何らかの形の経済犯罪を経験、うち42%が、前年の同時期に比べ不正の被害額が増加したと述べています。最も多かったのは「資産の横領」で、経済犯罪を報告した企業の67%が具体例として挙げています。次いで、「不正会計」(38%)、「贈収賄・汚職」(27%)という結果になりました。また、知的財産権の侵害、マネーロンダリング、税金関連の不正、インサイダー取引、スパイ活動等の犯罪も報告されています。

54カ国3,000社以上を対象とした今回の調査は、この類の調査としては最も広範囲に及ぶもので、INSEADビジネススクールの協力を得て実施されました。調査の結果、規制措置や不正防止対策が強化されているにもかかわらず、中小企業から大手企業まで、またすべての国や業界において、経済犯罪が依然として横行している現状が浮かび上がっています。

直接的な経済的損失に加え、企業は不正によって深刻な「二次的被害」も被っています。具体的には、経済犯罪を報告した企業のうち32%が回答した「従業員の士気低下」をはじめとして、「取引先との関係悪化」(23%)や「評判やブランドの失墜」(19%)、「監督機関との関係悪化」(16%)などが挙げられます。最も増加率が高い経済犯罪は「不正会計」で、件数としては2003年の3倍以上となりました。

調査結果は、世界不況の影響により経済犯罪が増加していることを示しており、実際、回答企業の40%が、不況時には経済犯罪のリスクが増大すると答えています。不正が増加している主な理由は「経済的なプレッシャーまたは誘因が根底にある」と回答した企業のうち47%が、「数値目標の達成がより困難になった」ことが不況時における不正の強い動機となっているとしています。その他の回答として、「失業の不安」(37%)、「個人の成果ボーナスを稼ぐため」(27%)、「経営陣が求める経営結果を出すため」(25%)が挙げられました。

「世界不況が、不正に走るプレッシャーや誘因を高める理由となっているのです」と、ロンドンでPwCフォレンジックサービスのリーダーを務めるトニー・パートンはコメントしています。「経済犯罪は世界中に広がっており、根絶しがたい、悪質なものです。不正の脅威はどの企業や業界にも存在するのです。」

「こうした不況期には、粉飾決算等の不正会計に手を染めようとする衝動が倫理意識を上回ってしまうことがあるのかもしれません」と、パートンは付け加えています。「経済が落ち込んでいる時には、財務目標の達成が一層難しくなります。それによって個人がプレッシャーを感じることもあるでしょうし、給与カットや解雇により、自身の家計が脅かされることもあるでしょう。」

経済犯罪は従業員数が1,000人を超える企業では46%と、大手企業で最も顕著でした。不正を報告した企業の3割近くが、過去12カ月間での発生件数は10件を超えていると回答しています。

過去12カ月の間、最も不正の脅威にさらされたのは通信業界で、46%が不正があったと回答しています。さらに、ホスピタリティ・レジャー業界が42%、金融サービス業界が44%、保険業界が45%という結果でした。しかし、経済犯罪と無縁の業界はなく、業界ごとにそれぞれ異なる不正の脅威にさらされています。たとえば、土木・建設業界では、47%が贈収賄・汚職があったと報告しています。

国・地域別にみると、経済犯罪の発生率が高かったのは、ロシア(71%)、南アフリカ(62%)、ケニア(57%)、カナダ(56%)、メキシコ(51%)の順となりました。一方、発生率が低かったのは、日本(10%)、香港/中国(13%)、オランダ(15%)、トルコ(15%)でした。

経済犯罪者の多く(53%)が、被害を受けた企業の従業員であり、44%が社外者でした。内部不正は航空、化学、製造、医薬の各業界で最も多く、外部不正が最も多かったのは、保険、テクノロジー、通信、金融サービスの各業界でした。社外者による不正を報告した企業の45%が顧客による不正被害を受けており、代理店・仲介業者による不正被害は20%でした。

また、今回の調査では、不正行為者の人物像が変化していることも明らかになりました。中間管理職による経済犯罪が劇的に増え、内部不正に占める割合が2007年の26%から一気に42%にまで上昇しています。一方、上級管理職が関与した不正件数割合は、2007年には26%であったのに対し、今回の調査では14%まで低下しました。

報告されている経済犯罪の発覚のきっかけとなったのは「非公式な告発(内部・外部)」が27%、次いで「内部監査」(17%)、「不正リスクマネジメント」(14%)でした。また、13%が偶然による発覚で、正式な内部通報制度を介して発覚したのは7%にすぎませんでした。内部不正発覚後、不正行為者の85%が解雇処分となっています。民事あるいは刑事訴訟で起訴されたのは、内部不正行為者で48%、外部不正行為者で59%でした。

今回の調査により、報告された不正件数と不正リスク評価の実施頻度の相関関係が浮き彫りになりました。評価の実施頻度の高い企業ほどより多くの不正を報告しているのです。つまり、不正行為を探せば、不正行為が見つかる可能性があるということです。ところが、不正被害者の半数近くが、経済犯罪がより巧妙となり不正の被害額が増加していると答えているにもかかわらず、3分の2近くが不正対策の内容を変更していないと回答しました。

調査について

PwCの「第5回世界経済犯罪調査」は2009年7月から11月にかけて行われ、オンラインによる同調査の参加企業数は、54カ国3,037社でした。調査対象者には、自身の会社について、またその所在国について回答を依頼しました。
PwCのフォレンジックサービスグループは、世界中の民間企業や公共部門のクライアントに対して、不正発生後の調査や、不正防止の対策に係るサービスを提供し、不正やその他の回避可能な損失に対するライフサイクルの提言を行っています。

INSEAD について

INSEADは、世界有数の規模を誇るビジネススクール大学院です。世界中の人や文化、思考を取り入れ、人々の生活の変化や組織の変革に取り組んでいます。こうした世界的視点や文化的多様性は、INSEAD研究や教育のあらゆる面に反映されています。INSEADのオフィスはニューヨークにありますが、キャンパスはアジア(シンガポール)とヨーロッパ(フランス)にあり、イスラエルとアブダビには教育センターがあります。INSEADはこれら3つの大陸にわたって、ビジネス教育・研究を広く展開しています。

プライスウォーターハウスクーパースは、クライアントの産業に焦点をあてた監査、税務、アドバイザリーサービスの提供を通じて、クライアントおよびその利害関係者の社会的信頼の確立と価値の向上を目指しています。 世界151カ国に163,000人以上のスタッフを有するPwCのグローバルネットワークを活用し、見識や経験、ソリューションを共有することによって、常に新しい視点から実践に即したアドバイスを提供しています。

プライスウォーターハウスPwCとは、プライスウォーターハウスクーパース・インターナショナル・リミテッド(PwCIL)のメンバーファームによって構成されるネットワークを指します。 各メンバーファームは独立した法人であり、PwCILまたは他のメンバーファームの代理人としての活動は行っていません。PwCILは、クライアントに対するサービスの提供は行っていません。 メンバーファームの作為もしくは不作為には責任を負わず、メンバーファームによる専門的判断力の行使に対する管理や、メンバーファームに対する拘束は一切行うことができません。 メンバーファームは、他のメンバーファームの作為もしくは不作為に責任を負わず、他のメンバーファームによる専門的判断力の行使に対する管理や、他のメンバーファームもしくはPwCILに対する拘束は一切行うことができません。